現在の裁判所の調停では、別席での話し合いが原則であるようだが、戦前の調停はむしろ同席が原則であったような節がある。
充分なデータはないのだが、例えば、『調停読本』(1954)には、別席調停のメリットも書かれているが(P98-99)、原則型として、「当事者双方及び代理人並びに利害関係人等を全部同時に呼び入れ」、話し合いが進められる手順が紹介されている(P173-174)。
また、裁判官が最後の調書読み上げだけに登場するなどといったことはなく、調停委員会として調停委員2人と一緒に話し合いに参加していたという話もある。(この点での形骸化は戦前に見られるという指摘もある。)
戦前の調停と一言でいっても、封建的で乱暴な調停もある一方で、逆に、現在では考えられない位丁寧な手続もあった節もある。例えば、関東大震災後の借地借家調停では、調停期日を1週間後ぐらいにどんどん入れていたそうである。
調停理解に、ステレオタイプは禁物である。