JMCの田中圭子さんのコーディネートによる企画。
http://www.shiho-shoshi.or.jp/activity/event/20090308/index.html
http://www.adrgroup.co.uk/
http://www.adrgroup.co.uk/about-adrg/Michael_Lind.htm
英国で会社組織としてメディエーションサービスを提供している「ADR Group」のマイケル・リンド氏によるプレゼンテーション。
興味深い報告だった。
・ADR Groupのメディエーションの料金は高い。
1日に5.6万円~42.7万円。(それぞれの当事者)
・ADR Groupは高い料金だが、年間500件実施している。
ケースマネジメントを会社が提供し、調停人が調停をする。
取り分は1:2(会社1で調停人2)。
・ADR Groupでは別席調停が多い。
・メディエーション・ヘルプラインと呼ばれる公設で
民間プロバイダに事件を流す仕組みの運用が始まっている。
年間1600件の調停申し込み。約800件の調停実施。そのうち3分の2の成立。
調停手続は裁判所内で行う。
・少額訴訟事件向けの裁判所付設調停が開始。
2008年初年度で7800件。当事者の利用料は無料。
これも調停手続は裁判所内で行う。
・調停人は多いが、調停件数は少ないというのがイギリスの課題。
・ウルフ卿も、ADR Groupのトレーニングを受けた。
・クオリティマーク制度は、認証モデルというより登録モデル。
・EUでは、ディレクティブ(指令)と行動規範がある。
・ADR Groupのトレーニングでは、ビデオテープを取って、メディエーターのパフォーマンスを評価する。
・日本のADR法は、「馬を置く前に馬車を置く」だったかもしれない。
・今日帰ったら、「ADRについて、だれかひとりに話して下さい」-地道な活動が、徐々に広がりを生む。
やり手の方のようだが、わたしと同じ年齢だ。
眉間にしわを寄せて話をするのが気になったのだが、途中から立って話し出すと、生き生きとしてきた。こういうプレゼンよりトレーニングのほうが好きなんだろうと想像しながら聞いていた。
ADR Groupのキャッチフレーズは、Teach、Talk、Resolve。調停という概念を教育することを先行させるという意味か。トレーニングの重要性を強調していたのと、プロフェッショナリズムとしての品質の確保に注力していたのが印象的だった。
リンド氏が、東京司法書士会の、成功報酬料金体系が問題ありという発言をしていた。
東京司法書士会ではあまり意識されていなかったのかもしれない。
わたしが理解している限りでは、米国では、明示的な禁止までされている場合ばかりではないが、一般に成功報酬料金体系は望ましくないとされている。