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鶴見俊輔『北米体験再考』

鶴見俊輔(1971)『北米体験再考』(岩波新書)

復刊で書店に並んでいたもの。


 スナイダーは科学にたいして背をむけるのではなく、その方法の徹底を説く。
 現代の科学は、それぞれの社会にあたえられたものとしてある秩序の観念と文化的価値とは、任意のものだということを明らかにした。またわれわれが自然を征服する度合いに応じて、われわれ自身が弱くなることをも明らかにした。このような科学の客観的な眼は、自然をあるがままの状態で見ることをつづけるとともに、われわれ自身の見る眼そのものをも見ることを自分の課題としなくてはならない。文化的相対性を虚心にみとめることが、次のステップへの展開の道をひらく。われわれは、自分の中に、洞窟をもつことをみとめるだろう。その洞窟の壁には動物と神々があり、そこは儀式と魔術の場所である。(「法への問い」『大地の家計』) ※孫引き、邦訳タイトルは、『地球の家を保つには』
P120


 体験から考えるという方法は、体験の不完結性・不完全性の自覚をてばなさない方法である。ある種の完結性・完全性の観念に魅惑されて、その尺度によって状況を裁断するということがないようにすることが、私の目標だ。北米体験が自分に教えてくれたことは、一口に言えば、かりものの観念による絶対化を排するということにつきる。
P185

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2008年12月12日 12:31に投稿されたエントリーのページです。

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