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ワインバーグ文章読本

G.M.ワインバーグ (著), 伊豆原 弓 (翻訳)[2007]『ワインバーグの文章読本』(翔泳社)

ワインバーグは、ITコンサルタント業界では有名な人物だが、文化系の人にはなじみが薄いかもしれない。

プロの物書きとしての文章の作り方を紹介している。
文章を書くための方法論であるのだが、よくよく読むと、一種の生き方論である。

問題意識を持って、書くべきことを見つけ、メモを作るところ-そのメモを”自然石”と呼んでいる-を重視している。
梅棹忠夫が「ミニ論文」と呼んでいるものと似ている発想だとおもった。
彼の言う”自然石構築法”は、”綿菓子構築法”と対比される。
何も書きたいことがないのに、もっともらしいフレームワークだけを使って、無内容な文章を書き散らす手法を批判している。

どうして綿菓子レンガ積み法を使う人が多いのだろうか。この方法の最大の利点は、言葉がなかなか出てこないときも、たいしてアイデアがないときでさえも、綿菓子のレンガで何ページも埋められることである。 P127
そういう意味では、(インチキ)コンサルタント批判であるとも読める。

ワインバーグは、瞑想を行っているらしい。
”自然石構築法”は、書きたいことを探して、それをそこそこの形に仕上げる方法である。
(この、有意味であれば、不完全でも良いとする発想は、無意味な完全性を追求する<学校教育>批判でもある。)

さて、ショートカットを拒否したやり方なのだが、それをするためには、石を捜すか、石を積むか・・つまりせっせと働かなくてはいけないということを言っている。せっせと働くことの最大の障害は「中毒」である。
麻薬中毒のようなことだけを言っているのではない。しなければならないことへの直面を避けるために不毛なことへの逃避をする全般を「中毒」と呼んでいる。中毒を断ち切る知性と創造力があればよいのだが、それを本当の意味で断ち切るのは容易ではない。他人の”中毒”を見つけるのは簡単でも、自分のそれを改善するのは大変だ。

ワインバーグは、自分がすべきことを知るために次の問い(ゴルディロックスの質問)を自分自身に対してなすことにしているらしい。


わたしはいまどういう状態なのか?
アイデアが多すぎるのか?
アイデアが少なすぎるのか?
それとも子ぐまのおかゆのようにちょうどいいのか?
P25

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2008年03月27日 19:20に投稿されたエントリーのページです。

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