チャルディーニ、R.[1991]『影響力の武器』(誠信書房)
承認誘導の理論を体系化したもの。
人が理性的に判断をせずに自動的に判断・行動してしまうのはどのような状況かを分析している。
原始的な自動性として、完全に分析できないときに、「良い証拠が一つでもあれば充分」として判断する人間の行動パターンがある。
現代は、承認誘導の専門家がよく考えずに機械的に手っ取り早い反応をするように仕向け、利益を得ようとする状況がある。
同書では、①返報性、②コミットメントと一貫性、③社会的証明、④好意、⑤権威、⑥希少性の6つの承認誘導をもたらす人間の心の動きが解説されている。
同書のスタンスとしては、そういうものにだまされないようにするには、そういう存在に気づくことだとしているが、誰がこの本を読むかといえば、承認誘導で利益を得ようとする人たちだろうと思う。
その意味で、こうした理論が持つ倫理のありかた自身にも興味がでる。