尊敬する町村先生と、離婚カウンセラー(離婚メディエーター?)の池内ひろ美さんが書かれた本。
基本的には、離婚を考える夫か妻かが、厳重にブックカバーを掛けてこっそり読むような本なんだろうと思うが、離婚の家事調停というものを当事者の視点で書かれており、家事調停の制度を考える上でもとても重要な本だと思った。
調停委員のイメージのアンケートグラフ(上位から、「信頼できない」「自分の価値観の押し付け」「不公平」「決め付ける」と来て、次にやっと「親切」。P207)などは大変貴重なデータだとおもう。
あとがきで、町村先生が、池内さんの”戦略的思考”に時々ついていけないと漏らしているように、そこまでするか的テクニックもいろいろ親切に書いてある。
池内さん自身の離婚調停のとほほな経験も率直に書いてあって、なるほどなぁと参考になる。
「勝てる!?労働審判」とか、「勝てる!?下請法」とか、他分野に応用もできそうだとおもった。
最初のほうに出てきた「努力」と「我慢」というキーワードも面白かった。
我慢が美徳、我慢をしてきたという古い価値観を振りかざす人たちが、得てして努力を怠ってきたのではないかという指摘にはひざを打つような思いをした。
池内ひろ美、町村泰隆[2006]『勝てる!?離婚調停―年金分割完全対応版』(日本評論社)
ビートルズのユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネーをBGMに聴きながら、ぜひ読んでほしい一冊である。