浅見 宣義『裁判所改革のこころ』(現代人文社・2004年)
私も含めて、現在の裁判官の多くは、「同期の中では比較的早期に司法試験に合格した」「修習生時代は、比較的よく勉強し、自主的な研究会、特に社会的な問題を扱う研究会には距離を置いてきた」「裁判官になってから、部長をはじめとした先輩裁判官や実務論文等から裁判実務を学ぶことは一生懸命やってきた」「最高裁判例解説は毎年購入している」「修習生・裁判官以外の仕事についたことは、アルバイトしかない」「司法は、不幸を扱う仕事であるから、控えめ、消極性を旨とするのもやむを得ない」「裁判官会議等の公式の場で、指名されたとき以外に発言したことはない」「常任委員会等の選挙では、期の順や天の声に従って投票してきた」「毎年の転勤希望地の調査の際には、転勤希望地を書くが、希望値以外は不可、の欄に印をつけたことはなく、転勤を拒否したこともない」「一月の転勤内示時には、他の裁判官の分もとても気になり、同僚間で、また電話でつい話をしてしまう」「裁判官は一生やるもので、10年だけという意識はない」「所属裁判所に転任してくる裁判官があれば、司法大観で経歴を見ることが多い」「合議で決をとるまで揉めたことはない」「会同・協議会では、最高裁係官の説明はメモをしてしまう」「同期の裁判官が、留学や事務総局入りしたり、研修所教官や総括に指名されるとちょっぴり気になる」などといった意識を、あからさまには言わないけれど概ね共有しているのではなかろうか。
P256