末弘厳太郎 小知恵にとらわれた現代の法律学 (初出1923)
いったい立法例を調査するでもなく、世の中の実情を調査するでもなく、ただ立案者がありあわせの小知恵をふるって書いたのでは、いかに立派な小知恵の持ち主にやらせてもうまくいくわけがない。そうしてその案がやがて同じく知恵一点張りの法制局あたりをまわった上議会を通過する、これではたしていい法律ができるでしょうか。私は大いに危ぶむのです。それでは真に社会の実情に適合した法律のできるわけがないのです。
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大正期に比べて、議事録が公開されるとか、パブリックオピニオンを求める手続がとられているという進歩があるはずなのだが・・