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速水融『歴史人口学で見た日本』

速水融(2001)『歴史人口学で見た日本』 (文藝春秋)

これもyagianさんに教えていただいたもの。
速水先生の研究史をふりかえりながら、歴史人口学を紹介した本。

歴史人口学とは、近代的な人口統計が成立する以前の様々な歴史資料を基に、統計データを推計し、その社会の動態を人口という観点で分析する学問である。

歴史人口学は、庶民の暮らしを、地べたから見ていく<虫の目>と、人口データというマクロに見ていく<鳥の目>の両方の視点があるとても魅力的な学問であるという。
前者の、虫の目については、速水先生が、宮本常一や網野善彦も働いていた日本常民文化研究所で研究者としてのスタートを切ったということともつながっているようにおもう。

ヨーロッパなどでは、人間と家畜の数の比率は、歴史が下るに従って、家畜の割合が高くなるのだが、江戸時代の日本では逆に家畜の割合が減っていったという事実も興味深い。その事実も踏まえ、産業革命(industrial revolution)ならぬ勤勉革命(industrious revolution)というコンセプトを速水先生が発表したという。だじゃれのようなこの言葉は、いまでは世界的に認知されているのだそうだ。

マイナーな研究分野で、国内では関心を持つ人が少なかったので、外国語で研究を発表していったと書いてあった。さらりと書いてあるが、わかっていてもなかなかそれが難しい。

また、データベースを作っていったり、何人かで集まって分業と協業をするプロジェクト型の研究が必要な分野だが、日本では財源確保を含めて、進めるのが難しいという話も出てくる。

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2010年11月15日 10:31に投稿されたエントリーのページです。

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