藤木久志(2010)『中世民衆の世界――村の生活と掟』 (岩波新書)
中世の農民には、自治的な活動があり、単に支配されていただけの存在ではなかったという見方を強調した歴史の本。
たとえば、惣堂という存在について、旅行者を自宅に泊めるのは御法度だが、惣堂で宿泊するのは自由であったという、中世の社会が意外に開放的な側面の証拠として示す。
と同時に、村の全体での管理が行われていたからこそ、そのような「コモンズ」が成り立っていた点への注意を喚起する。
また、戦国時代に、直訴のシステムが生まれ、拡がり、豊臣・徳川にも引き継がれたことについても、暴力による自力救済としての村の活動が、客観的に処理できる平和なシステム下の手続きに移行したという側面が重要であるとする。
コメント (2)
藤木先生の本はいろいろと示唆的ですよね。
投稿者: yagian | 2010年11月10日 18:28
日時: 2010年11月10日 18:28
藤木先生の本は初めて読みましたが、示唆的でした。
投稿者: ヱ | 2010年11月12日 11:19
日時: 2010年11月12日 11:19