« 7/10仲裁ADR法学会・予定 | メイン | 新しいADR論3 »

大正デモクラシー期の法と社会

伊藤 孝夫 (2000) 『大正デモクラシー期の法と社会』, 京都大学学術出版会.

末弘法学を典型とする、大正デモクラシー期の法学は、一方では法秩序の<現代法化>への課題に応えようと試みつつ、他方ではまた、こうした国家的価値の膨張の試みに反駁し、個人の自由を保障する近代市民法的秩序を擁護するという課題にも取り組まなければならなかったのである。 P104-105

京大の法制史の教授の本。第一章は、大正期の調停立法について詳しく書かれている。わたしにとって関心の深い穂積重遠の扱いが軽かったが、末弘厳太郎の小作調停と労働調停への考え方などはかなり詳しく書かれていて、また、牧野英一の扱いはそれなりに詳しくて勉強になった。

わたしは1920年代の大正デモクラシーとしての調停制度と30年代以降の戦中体制としての調停制度とでは断絶があるという見方を持っているが、伊藤先生も、「二〇年代の文脈においては、この概念(引用注:協調主義のこと)が有していた積極面に意義を認めるべきである、というのが私の見解である(P109)」と書かれていて、納得した。

About

2010年05月27日 10:04に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「7/10仲裁ADR法学会・予定」です。

次の投稿は「新しいADR論3」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type