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法社会学会大会@同志社大学

ことしも両日参加してきた。

二日目の午前のセッションで、訴訟行動調査の報告があった。
京都法テラス所長の出口治男先生と、学習院大学の大島崇史先生(元裁判官、弁護士)がコメンテーターで、実務家としての実感を交えてコメントがあった。

特に自治体が主催して弁護士が行っている法律相談の満足度が非常に低いということが調査の結果、明らかになっている。
利用者にとって、受任してもらってしっかり仕事をしてもらった場合には弁護士にも訴訟手続にもそれなりに満足をするが、そこまでいくのに敷居が高いと感じており、経済的に豊かでも弁護士の知り合いがいないと利用したがらないという傾向があるという話も紹介されていた。

出口先生は、弁護士会内で、法律相談が減っているという危機感があるという議論を紹介していた。法律相談減少の原因が、法テラスによる”民業圧迫”にあるという<批判>もあるのだそうだ。
大島先生は、弁護士は法律相談で対応した話を受任したがらないという実情を紹介していた。
弁護士にとって、法律相談の場が、クライアントを門前払いするところに陥っていながら、相談が減っているのは法テラスのせいだ、あるいは・・、などと他者を批判している状況にあるようだ。

調査の中で、自治体法律相談の利用者は、経済的に余裕がないわけでなく、知的にも低いわけでないという状況を紹介していた。
つまり、潜在的な顧客候補を逃がしていると言えそうだ。

法律相談を受ける弁護士だけが悪いとは言えないはず。受任しても割に合わないだろうという直感は個別的・ミクロ的には正しい可能性が高いと思われるからだ。しかし、もう少し全体状況的・マクロ的に見ると、潜在的な弁護士利用者を弁護士が行う法律相談の印象で取りこぼしている可能性もまた高いと思われる。
マクロ的に見れば門前払い的な役割に過ぎなかった「過去の法律相談」が充分に改革できていないのではないのかという印象を持った。このあたりは検証されなければならないと思う。

コメント (2)

消費生活相談員:

  入江先生、先生のブログが再開されまして、このように拝見させていただけますこと幸せです。ある法律家のお方のブログで数日前に存じ上げました。アーカイブで1ヵ月半分を拝見しているところです。最初、先生のブログと出会えたときは、数年間分を溯ったのですからへっちゃらです^_^
  さて、この日の内容は、とても面白いです。興味津津です。
消費生活相談員が、契約に関して、業者とあっせん交渉をするという仕事のほかに、自治体の小さな消費生活相談窓口には様々な相談が持ち込まれます。
  そのため、日常的に、市民からのご相談を内容に応じて(多重債務相談だけではありません!)法律家の無料相談につないでいます。聞き取って、本人の言いたいことを整理し、わかる範囲でご説明し、相談員が法律家の予約をお取りしています。
  トラブルをかかえて困って、せっかくの第一歩の行動に踏み出せた市民を、法律家にきちんとつなぐ。市民の司法アクセス権を守る!かな。法律家は敷居が高い(市民がそうおっしゃる)のだけれども、その前段階として、消費生活相談室を利用してくださった市民には、本当に喜んでもらっています。
  また、法律家への苦情として帰ってくるケースには、法律家の対応に共通項があるように感じます。紹介先として、ADRをあげることも数回ありました。
  文章の内容につき、ピンとがはずれていたり、用語が間違っていたらお恥ずかしい限りでございます。
今後ともご指導のほどお願い申し上げます。

ヱ:

書き込みありがとうございます。

現在のような司法制度の激変期には、事実に基づいて、建設的な議論ができるようにするのが必要だとおもいます。が、普段実務に当たっている方の実感と、学術的なデータの突き合わせ作業はとても大事だろうと思っています。


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2010年05月10日 08:45に投稿されたエントリーのページです。

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