一方が100万円請求している場合に、調停人として、何をどのように質問していくかが課題になる。
100万円の請求されている「根拠」を教えていただけませんか?
100万円の「請求理由」は何ですか?
100万円の「明細」を教えて下さい。
これらはいずれも法律家的な聞き方で、別にこういう質問をしたら間違いというわけではない。
しかし、最初から上記のように聞かないでもよいはず。例えば、以下のような質問も可能。
100万円の請求に至った「経緯」を少し教えていただけませんか?
100万円の請求をされた「ご事情」を教えていただけませんか?
100万円の請求をされようと思った「お気持ち」を教えていただけませんか?
同じようなことを聞いていて、結局は同じような答えになるのかもしれないが、微妙に違う。
その違いが大きいのではないかと思っている。
根拠や理由を聞かれると、最初から理屈と証拠で武装した答えをしなければならないが、経緯や気持ちを聞かれたら、率直に、これまで言い足りなかったストーリーを話しやすい。
調停技法は、みんな仲良くというムードみたいなものにすぎないとか、建前的な心がけを唱和するようなものだとか思われている向きもあるが、わたしは、論理的なものだと思っている。