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会員外の参加を認めるトレーニングの意義

士業団体で調停トレーニングを企画する方と打合せをすることが多いが、その士業団体に限らず参加者を募集した方がいいですよと、いつも言っている。今回の全青司のトレーニングでは、それがかなって、誰でも参加できるようになった。(追記:どうもわたしが誤解していたようです。実際には、最初からではなく、二次募集があった場合に、募集になるということのようです。失礼いたしました。)愛媛和解支援センターでは、トレーニングの機会を、機関広報の機会とも捉えて広く告知している。

士業団体にとって、自分たちの貴重な予算を使うのだから、会員に参加を制限したいというのは、当然の発想である。しかし、参加者を外から求めるのは、以下のようなメリットがある。

1.緊張感を持ってトレーニングができる

外からの目があれば、横着な方に流れにくくなる。知り合い同士でなれ合いの参加になると、雑になるばかりで研修効果が低くなる。ベテランのトンチンカンな発言などで振り回されにくくなる効果もでる。

2.外部からの期待が理解できる

同じ士業団体内だけで議論をしていても、本音では、自分のお客さんには裁判所の民事調停を勧めるよな、などという感想を持ちつつ、表面的に、これだけの資源を投入しているかぎりなんとか当該団体のビジネスチャンス拡大につなげなければならないといった、概念的なレベルにとどまった、利用者不在の、士業団体内の論理に終始しがちである。
外部の参加者が持っている期待は、一般利用者のそれに近いものがあり、具体的な組織設計イメージにつながる意見が得られる。結局は、それが機関のアイデンティティにつながってくる。

3.機関の広報効果

研修企画をする側は、未熟な姿を見せたら信頼を失うと考えるかも知れないが、そんなことはない。謙虚に献身的に学んでいる姿を見ると、あるいは、組織を外部に開かれたものにしようとする誠実な姿を見ると、自分が困ったときにもここに持ち込もうという気持ちが出てくる。機関を立ち上げた後には、申立件数をどうやって確保するかの問題が出てくるが、漠然とした認知よりも、深いレベルでの応援団が増えないと事件の持ち込みにはつながらない。

4.人数確保

参加人数を確保して、研修会の頻度を保つことができる。

上記のように、トレーニングを、会員に参加を制限しないというのは、当該団体にとって大きな意味がある。
まずは、親しい団体との共催を考えても良いだろうし、近隣の重要な団体(例えば、自治体)への呼びかけを考えても良いだろう。

確かに、他の分野の研修会などではこのような発想はしないだろうとおもう。
上記4点示したように、ADRの研修には、知識だけを会内で共有すればよいというものとは違う意義がある。
これをADRについて知識がなかったり、印象だけで懐疑的な態度を持っている(それが悪いことではないが・・)役職者にきちんと説明して理解を求めるのは大変だろうとは思うのだが・・

コメント (4)

芝@全青司担当幹事:

こんにちは。
全青司のトレーニングについて少し補足を。

全青司トレーニングは今年から「2次募集があった
場合」他士業の方にもご参加いただけるように
なりました。
他士業の方とのトレーニングの重要性は私たちも
認識しているところですが、組織の決議を取り
予算にて赤字を補填してトレーニングを継続
している関係上、司法書士を優先させていた
だくことをどうか御了承下さい。
現在、1次募集中です。8月末が締め切りと
なっております。
宜しくお願いします。

ヱ:

先走ったことを書いてしまったようで、失礼いたしました。

We're in the learning process.
ということで、すこしずつ進むとよいなとおもっています。

士業の会員ではない者です:

 入江先生、こんばんわ。毎日欠かさずブログを拝見させていただいております。ご多忙の中、一日も抜けることなく、ブログを更新なさるということは並大抵のことではないと存じております。
 さて、私は、自治体の消費生活相談室に勤務している者です。住民の方々には、敷居が低く感じてもらえており、色んな相談を頂きます。近隣トラブルも一定数あるように感じます。法務省のかいけつサポートのパンフも役所にあり、その情報提供をすることもあります。認証の有無を事前に説明すると、それにはこだわらないお方もいらっしゃいます。
 近隣のADRのどの機関がどんなことに取り組んでおられるかは、個人レベルでほんの少し知っているだけです。
組織として、そちらの機関から説明を受けたことはないし、つなぎ方のルールもまだありません。
 ADR機関の方々が、どんな考えで、また、日頃どんなトレーニングを積んでおられるのかわかれば、理解が深まり、応援する気持ちにもなるし、紹介する機会にもつながると思います。そもそも、何をどうする機関かわからなければ紹介ができません。
 また、相談業務に就く者として、その調停トレーニングを受けたいという気持ちもあります。きっと、日常的な仕事に生かせるスキルが学べるだろうと思っています。
白黒つけなくていい、喧嘩別れじゃなくて、話し合いたい。けれど、当事者だけでは事が進まない。解決したい。と思っている方々に、ADRもあることを知ってもらいたいと思っています。そして、その活動に関わりたいと思っています。
今後ともご指導を賜りますようお願い申し上げます。
 


ヱ:

書き込みありがとうございます。

ADRの取り組みを効果的に行うのが難しいのは、学者の責任もあるのかなと思っています。

制約・限界はもちろんいろいろありますが、使い道がある活動をどうやって拡げていくかを日々考えています。

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2009年08月24日 06:25に投稿されたエントリーのページです。

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