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1999年の損保ジャパン研究所のレポート

損保ジャパン総合研究所クォータリー 1999年10月20日発行 Vol.30

イギリス新民事訴訟規則と代替的紛争解決(ADR)の構想-保険会社のADR機能の評価に言及して- (78.6KB)   = 要 約 = 主任研究員 卯辰 昇

  Ⅰ.はじめに
 イギリスの新民事訴訟規則は、1999年4月26日から施行されている。本稿は、イギリス民事訴訟制度の特徴と現状を分析し、新民事訴訟規則の主要点を概説し、その上で問題点及びADRの可能性について論ずる。

Ⅱ.イギリスにおける民事訴訟の現状と改革の方向性
 従来のイギリスの民事訴訟に対する批判として、費用がかかりすぎること、解決までに時間がかかること、そして訴訟が複雑であるといった点が指摘されていた。新民事訴訟規則は、主として、プリ・トライアル段階とトライアル段階で生じている各種の問題の解決を指向している。

Ⅲ.イギリス新民事訴訟規則の概要
 イギリス民事訴訟の最大の特徴である当事者対抗主義から、裁判官が積極的に関与するケース・マネジメントの導入に関して論じ、特にプリ・トライアル段階での和解への誘導とトライアル段階でのスリー・トラック制の訴訟進行について概説する。

Ⅳ.イギリス民事訴訟改革の問題点の分析
 当事者対抗主義からケース・マネジメントへの移行が、従来のイギリス民事訴訟制度に内在する問題を解決するものかどうかを「法と経済学」の成果を援用して分析する。特にケース・マネジメントによるADRの積極的活用と、訴訟費用の敗訴者負担原則を中心としてゲーム論的に分析を試みる。新規則の制定により、イギリス民事訴訟制度に内在する問題の解決に向けた一定の評価が可能であるが、なお問題が残ることを指摘する。

Ⅴ.日本における司法制度改革とADRとしての保険会社の機能
 日本での司法制度改革の方向性とADRの方向性を論じ、保険会社のADR機能を積極的に評価し、将来の制度設計を考える視点を提示する。

Ⅵ.おわりに
 今後、交通事故や商品被害事故等の定型的かつ少額の紛争解決についての手法を考え、さらにプラクティカルな提言ができるように検討を深めていく必要がある。

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2008年07月24日 11:13に投稿されたエントリーのページです。

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