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安斎育郎『だます心 だまされる心』

安斎育郎[2005]『だます心 だまされる心』 (岩波新書)

筆者は、手品の愛好家であり、ジャパン・スケプティクス(超自然現象を批判的・科学的に検証する会)会長である学者。

手品から、悪徳商法、詐欺に至るまでさまざまな「騙し」の世界の幅の広さを紹介している。
筆者が言っているのは、騙しの基本的な構造は、人間が部分的な情報から全体像を推論する知的能力にあると述べている。
この能力を逆手にとったものが、騙しのテクニックであるという。

この筆者のスタンスは、批判的知性によって騙されないようにしよう、手品のように害のない騙される楽しみは大いに結構だが、超能力などと言っているのはほとんどインチキだと言いたいわけである。
古典的な啓蒙的スタンスといえるかもしれない。

情報社会といわれる現代社会では、かえって、「不完全情報下の意思決定」が必要になる場面が多くなるから、えいっと「決める」必要性にさらされる面が強くなっている。
そのストレスに耐えがたいという市民感情が、オカルトに走りやすい背景の一つなっているということはその通りかもしれないが、「批判的知性によって騙されないようにしよう」というアプローチが常に有効かどうかは留保がいるのではないかとおもった。

ちょっと、本題とは離れるのだが、紹介していたサラリーマン川柳が目に留まった。

ようやった!!事情が変わった なぜやった!! 無責任上司

日本的、事後論理を良くあらわしているなぁ・・



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2007年09月08日 06:11に投稿されたエントリーのページです。

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