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ルビ付き日本の近代史

小熊英二[2006]『日本という国』(理論社)

明治初期には、義務教育のことを強迫教育と言っていたらしい(原語はcompulsory education)といった、なかなかキャッチーな話題から始まって、戦前・戦後に形成された「この国の形」をざっくりと記述したもの。

ざっくりと書かれているが、論拠としてはしっかりしているものだけを使っているようだ。それでも、1945年2月に近衛文麿が進言した降服交渉を昭和天皇が拒否したという、天皇の戦争責任に直接関係する話など、こうした話を聞きたくない人からすれば、「何を言っている」と言われそうな部分についてもしっかりと書いている。

まあ、言ってみれば、古き良き岩波・朝日的なポジションからの発言ということにはなるだろうが、すべての文字にルビが振られている過剰さなどからしても、知的誠実性を軽視しムードに流れがちな最近の風潮になんとか掉さしたいという迫力は伝わってくる。

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2007年06月01日 12:33に投稿されたエントリーのページです。

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