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宇佐見寛『大学授業入門』

宇佐見寛[2007]『大学授業入門』(東信堂)

74歳になる教育学者の新しい著書。
向後千春先生のブログで紹介されていたので読んだ。

読み始め、反なめられ主義(P176)を標榜するだけあって、いばりんぼうな文章スタイルに、ちょっと毒気にあてられた感じがした。
しかし、非常に現代的な問題意識が感じられ、刺激的だった。

まず、5分以上連続した講義をしないで、授業を構成するという特徴がある。「教材研究をし、主要な「?」を予め構想する。授業での指示・発問も用意する。・・ノートの取り方を指導する」(P175)つまり、徹底的にインタラクティブに進める。

ノートの取り方として、具体例を書かせることを教える。「要約病」がはびこっていることをなげいている。たしかに、これも重要な考え方だと思う。

「AさせたいならBと言え」という技術も興味深い。「酒を飲みすぎるな」では、言われた方に意味が生じないが、「酒の味が淡くなったら飲むのをやめろ」というような感覚的・経験的な内容を含めた言い方なら、行動が変わりうる。こうしたメッセージを研究すべきであると言う。「お鍋をしっかり洗え」ではなく「ゴシゴシ洗う音がこちらに聞こえるように」とか、ハードルを飛ばせるときに「もっと脚を拡げて」ではなく、「運動靴の底を前のひとに見えるように」言うべきであるとかの例も豊富に紹介されている。

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2007年05月17日 06:53に投稿されたエントリーのページです。

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