ダンサンブール 『「なんでわかってくれないの!」と思ったときに読む本』
ダンサンブール トーマ(野澤 真理子=高野 優訳)『「なんでわかってくれないの!」と思ったときに読む本』(紀伊國屋書店・2004年)
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NVCについての本。
2018/9/25
読了。
NVCのセミナーを元にした「基本書」的な内容で充実していた。タイトルは軽めだが、非常に論理的。著者は、フランス人で元弁護士。
観察・感情・欲求・要求の4つを分けてかつ、統合的に扱うことの大切さを説いている。
考え方としては、メディエーション・トレーニングで言われていることと重なっていることが多かったが、より日常的な適用が想定されて説明されていて、勉強になった。……というより、身につまされて、アイタタタ、そうか自分はこういう攻撃的コミュニケーションをする傾向があるのだなという発見もあった。
我慢するー奴隷になるは、自分自身への暴力で、暴力的コミュニケーションの一形態だという説明があった。なるほど、と思う。
感情の表現の際に、その背後にある欲求とセットにするべきである点、欲求と要求を混同しない点なども参考になった。
>私たちは何をするにしても、〈相手が愛してくれなくなるのが怖いから〉という理由で行動します。相手を愛していて、相手のために何かするのが嬉しいからではなく、相手から何もしてもらえなくなるのが怖いからなのです。でも、これでは愛情を買っているのと同じだとは思いませんか? そう、私たちはこんなふうにして親密な人間関係のなかに〈取引き〉を入れているのです。そして結局、相手がどう思っているかが不安になって、相手の動向をうかがってしまうのです。p.156>……私はよくセミナーに参加した人たちから〈暴力的でないコミュニケーション〉を継続的に実践するにはどうしたらいいか教えてほしいと言われますが、そういった時には次のような方法を提案しています。それは〈一日三回、三分間〉という方法です。これをするには、まずは三分間だけ、〈私はだめな人間だ〉とか〈本来はどうあるべきか〉とか〈もっとうまくやろう〉とか考えたりせずに、ただ自分の心に耳を傾ける時間を作ってください。先のことや心配ごとは忘れて本来の自分になりましょう。何かを変えようと思ったりしないで、三分間、自分の心の状態を確認するのです。自分の心と向き合って、〈自分がちゃんとそこにいるかどうか〉を確かめてください。つまり自分に向かって「あなたはそこにいる?」と問いかけてみて、本当に心から「私はここにいるよ」と答えられるかどうかを確認するのです。そして、これを一日三回実行しましょう。こうやってありのままの自分でいられるようになってはじめて、相手にもありのままの自分でいてもらえるようになるのです。p.299
>悪とは、己れの飢えと渇きで苦しんでいる善そのものではないのか カリール・ジブラン p.304
2018/9/29
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